きのさんのブログ

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「ゆっくり見たい映画」といえば【かもめ食堂】でしょ

お題「ゆっくり見たい映画」

 

『ゆっくり見ない映画』の定義が分からないが、『ゆっくりした気分になりたい時に見る映画』ならある。

 

かもめ食堂だ。

 

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夏のある日、ヘルシンキの街角に「かもめ食堂」という小さな食堂がオープンしました。その店の主は日本人女性のサチエ(小林聡美)でした。道行く人がふらりと入ってきて、思い思いに自由な時間を過ごしてくれる。そんな風になればいい。そう思ったサチエは献立もシンプルで美味しいものをと考え、メインメニューはおにぎりになりました。しかし、興味本位に覗く人はいましたが、来る日も来る日も誰も来ない日が続きます。それでもサチエは毎日、食器をピカピカに磨き、夕方になるとプールで泳ぎ、家に帰って食事を作る、そして翌朝になると市場に寄って買い物をし、毎日きちんとお店を開く、ゆったりとしてヘルシンキの街と人々に、足並みを合わせるような、そんな時間を暮らしていました。

 

まずヘルシンキの街がいい。

ヘルシンキは言わずと知れた北欧の都市だ。北欧家具のイメージそのままに、直線的でスタイリッシュな町並み、白くてまぶしい太陽の光、元気で明るいのに清潔でごちゃごちゃしていない色彩、人間の本能に訴える“きちんとした風景”なのだ。映画事態のカラーバランスと相まって見ているだけで癒やされる画面構成。いい。

 

それから登場人物がいい。

役者さんの雰囲気が癒やされる画面構成にぴったりハマっている。ただそこに存在しているだけで素敵。ただそこで生活しているだけで素敵。人から少しだけ愛される存在でいてくれる素敵。小さな幸せを胸いっぱいに感じてくれる素敵。素敵がぎゅっとつまった人々しか出てこない。いい。

 

さらに出てくる食べ物がいい。

日本食でごめんなさい」と仲間になる日本人観光客(観光客とは趣が違ったのだけど)に自宅で夕食をふるまうサチエ。いやいや、不安でいっぱいの旅行先で食べる、他人が炊いてくれた炊きたての白飯ほどうれしいごちそうはないでしょ。日本でもそう思うのだから海外だったらなおさらだ。ヘルシンキの平和の午後の明かりの中で湯気を立てるベーシックな日本食の数々。炊きたてごはんのおにぎりに巻かれたのりのパリパリ感。ああ、おなかがすいた。

 

もちろん物語がいい。

起伏はある。起伏はあるが、過剰な演出がない分、起伏を起伏と感じない。山も登ってしまえばちょっとした坂道の連続だったように、人生を大きく変えてしまう出来事が起きていても案外大きな難関だとは思わない。人生ってこんなちょっとしたことの積み重ねでできてるよなあとクッションにもたれながらゆっくり再確認する時間。いい。

 

同じような理由でこちらもおすすめ。

直線的でスタイリッシュで、白くてまぶしい太陽の光に映えて、元気で明るくて清潔でごちゃごちゃしていない色彩、人間の本能に訴える“きちんとした民宿”が出てくる。素敵な役者さんばかりが出てくるし、最高においしそうな“氷あずき”が出てくる。さらにこちらには最強のヒーリングサウンドである海が出てくる。いい。なんの変哲もない砂浜を裸足で感じながら潮風に髪をなでられて食べる“氷あずき”。最高だ。

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ただ、難点をあげるとすればどちらも視聴中に『過剰に旅情をかきたてられる』点だろうか。しらない街のしらない風景に出会いたくなって仕方なくなる。映画でもいいんだよ。映画でもいいけどやっぱり、おいしいおにぎりやおいしい氷あずきをこの口に入れて、知らないところでゆっくり味わいたくなるじゃないか。

 

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天気のいい日に見たくなるのはこのパッケージのせいなのかな。