きのさんのブログ

書きたいことを書きたいだけ

「いい子に育てると犯罪者になります」

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“いい子にならなければならない”、が歪みの始まり

<ロールレタリング>

ロールレタリング、役割交換書簡法という名の通り、「自分から〇〇へ」の手紙を書き、「〇〇から自分へ」の手紙を書いていくというのが基本的なやり方となります。

 

過去を振り返らないということは、過去を押し込めてしまうということだと本書は語る。過去を押し込めてしまうこととは悔恨を未来まで解消できないことだと。そこでロールレタリングを行うことで今まで押し込めていた思いや考えや感情を発散させるのだ。「わたしからお母さんへ」「わたしからお兄ちゃんへ」「わたしからわたしへ」。わたしがこのブログにぶつけていたことは、ロールレタリングだったのかもしれないなと思った。なぜならいろんなことを書き散らしたおかげで最近のわたしは過去への恨み辛みから苦しむことが明らかに少なくなったからだ。過去、一番苦しめられた父親へのどす黒い感情はもはや殺意以外の何者でもなかったが、最近はその殺意が一枚オブラートに包まれたようにその黒さが際立たなくなった。いちいちイライラしなくなった。かといって、殺意がすべて消えてなくなったわけではないけれど。わたしもあと一歩踏み込んでいたら犯罪者になっていただろう。すでに脳内では何度も殺している。あと一歩、プツンと来なかったことが今でも不思議だ。

 

さて、あなたには幼い頃にすり込まれた価値観にとらわれていないだろうか。わたしはとらわれまくっている。しかも発達障害があるので、それが悪い方向により濃く影響していることが分かってしまった。以下に本書で紹介されている<刷り込まれた価値観を考える20のヒント>を引用しておくのでチェックしてほしい。「だから、いい子でいなければならなかった」のだとすると、それはとてもつらいことだ。

  1. 幼少期に父親や母親に繰り返し言われたことは何か。(例:「弱音を吐くな」と言われ続けたら、「弱音を吐いてはいけない」と考えるようになる)
  2. 父親はどういった人だったか。母親はどういった人だったか。(例:男は上、女は下など)
  3. 親のしつけは厳しかったか。暴力を振るわれるようなことはなかったか。また、「お前はダメな子だ」と人格を否定されるようなことを言われなかったか。
  4. 親は心を受け止めるようりも、叱咤・激励するような人ではなかったか。指示・命令の多い親ではなかったか。
  5. 親は「りっぱな人」ではなかったか。弱い面を絶対に見せない人ではなかったか。
  6. 親は正論をよく言う人ではなかったか。また、情緒的(感情表現が豊か)ではなく、理性的な人ではなかったか。
  7. 親に放任・無視されていなかったか。
  8. 医者の子どものように、親の跡を継ぐことを運命づけられていなかったか。
  9. 幼少期に親が不和であったり離婚したりすることはなかったか。また、親が再婚して、「新しい父親・母親」と生活することにならなかったか。
  10. 両親が離婚した場合、誰が養育者だったか。
  11. 親は非常に神経質な人ではなかったか。完璧主義な人ではなかったか。
  12. 親は「形あるもの(たとえば、金や学歴など)」にこだわっていなかったか。
  13. 幼少期に我慢していたことはなかったか。寂しい思いをしたことはなかったか。
  14. 幼少期において、忘れられないエピソードはないか。そのとき傷ついていないか。また、それをきっかけに「決意」したこと(例:やられたらやりかえす)や考えたこと(例:大人は絶対に信用できない)はないか。
  15. つらいこと、苦しいことがあったとき、誰かに相談できたか。できなかったとしたら、自分一人で解決しようとしなかったか。
  16. 優秀なきょうだい(同じ年頃のいとこなどを含む)と比較されることはなかったか。
  17. きょうだいに不登校の子や障害を持った子はいなかったか。(別人なのに「お前もそうなのではないか」という疑いをかけられた、親がきょうだいに手をかけるせいで自分を放任したなど)
  18. きょうだいに非行に走ったり心の問題(たとえば、摂食障害うつ病)になったりした者はいなかったか。(別人なのに「お前もそうなのではないか」という疑いをかけられた、親がきょうだいに手をかけるせいで自分を放任したなど)
  19. 長男・長女として生まれて、他のきょうだいよりもしつけが厳しくなかったか。
  20. きょうだいが多く、貧しい家庭で育っていないか。

わたしが当時のわたしに手紙を書くとしたら、わたしが話を聞くよ、に限る。あなたが溜め込んでいる想いをわたしが受け止める。あなたの甘えをわたしが叶える。抱きしめて頭を撫でて、あなたは十分、頑張っていると伝える。そしてそれはあなたの脳みその特性であり、あなたの性格が歪んでいるわけではないことを伝える。わたしはあなたが普通の子になりたいことを知っていて、理解しているよ。あなたの普通が片付いた部屋で心穏やかに過ごしたいだけであることを知っているよ。お友達を呼べるおうちにしたい。理不尽に怒られないおうちになってほしい。暴力におびえないおうちで過ごしたい。したくないことを強要されないおうちに帰りたい。それが叶わないのが両親のせいであることも理解しているよ。そしてあなたの努力ではどうしようもないこと、両親は聞く耳を持たないこと、もがけばもがくほど両親の愛情が遠のいてしまうことを知っているよ。死んじゃう勇気も、父親を殺す実行力もないことを知っているよ。苦しいよね。悲しいよね、と言って頭を撫でる。かんしゃくを起こし、泣きじゃくり床に転がる私を動揺し凍り付いた目で見下ろす母親。わたしが代わりに甘い言葉をかけて抱き起こしてあげる。「人に素直に甘えられる自分を取り戻す」。そのなんと難しいことか。

 

幼い頃に刷り込まれた価値観はやがて無意識のストレスとなってあなたを苦しめる。以下に本書であげられている<ストレスを生み出す20の価値観>を引用する。上記の<刷り込まれた価値観を考える20のヒント>と併せてチェックしてほしい。

  1. 「しっかりしなければいけない」という気持ちが強い。
  2. (親や周りの人に)迷惑をかけてはいけないと思う気持ちが強い。
  3. (親や周りの人に)期待に応えないといけないと思う気持ちが強い。
  4. 「我慢することが大切である」と思っている。
  5. 自分の素直な気持ち(うれしいとかかなしいとかつらいとか)をなかなか出さないほうである。
  6. 嫌なことがあったりつらいことがあったりしても、そのことを人にはなかなか見せないほうである。
  7. 人前では「暗い面を見せてはいけない」と思い、明るく振る舞ってしまうことが多い。
  8. 「弱いことは情けない」とか「弱いことはいけない」とか思っている。
  9. 泣くことは恥ずかしいことだと思っている。
  10. 人にはなかなか甘えないほうである。
  11. 「わがままやジコチュウであることはいけない」と思っている。
  12. 子どもっぽい面は出してはいけないと思っている。
  13. 「男・女らしくなければいけない」という気持ちが強い。
  14. お金の面で裕福になることが人生で成功することだと思っている。
  15. 完璧さを求めてしまうところがある。
  16. ミスや失敗をしてはいけないという気持ちが強い。
  17. 「白」か「黒」かをはっきりさせないと気がすまない。
  18. 「勝つこと」に対してのこだわりや執着心が強い。
  19. 他の人から自分に対して何かされたときに「自分のことを拒否された」とか「自分を悪く思われた」と受け止めてしまいやすい面がある。
  20. 「悪いことは許さない」という気持ちが強い。

念のため繰り返しますが、ここに掲げた項目は、私たちが生まれながらに持っている価値観ではありません。誰か(とくに親)から「もらったもの」か、周囲の環境に影響されるなかで形成されたものです。原点は幼少期にあります。だから、幼少期まで振り返らないと、なぜこのような価値観を持つようになったのか分かりません。 

 

しつけという名の虐待。期待という名のストレス。

ごめんなさい、もうしません。その裏で歪んだ価値観が育っていく。

「いい子」の瞳は曇ってはいないか。

 

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